第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界

ここでは腸と皮膚の関係を考えるために、傳田光洋氏の『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』を取りあげています。

 

過度なストレスなどによって精神状態が悪くなると、腸内環境が悪化して肌荒れも起きてしまいますし、皮膚に何らかの疾患があると、そのことは心の状態に作用します。

 

そのため、皮膚はからだのなかでも、非常に興味深い部分であるような気がします。

 

そしてこの皮膚というからだの部位は、内臓のようにからだの内側にあるのではなく、からだの外にある印象ですが、傳田光洋氏の『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』によれば、皮膚もまた、ひとつの「臓器」なのだというのです。

第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界

 皮膚は身体を包むためにある。長くそう信じられてきました。しかし二十世紀の終わり頃から、皮膚の様々な能力が明らかになってきました。

 心臓や肺、腎臓、これらは私たちの身体の中で働いている臓器です。身体の欲求に応じて血液を循環させる心臓、その血液に環境から取り込んだ酸素をもたらす肺、血液の中の不用成分を取り除く腎臓、それぞれがその使命を果たし、私たちの命は保たれています。

 皮膚は外側にある「臓器」です。身体と環境のインターフェースとして、皮膚は外部から様々な情報を受け、その情報を身体の中に発信し、環境の変化に対して身体が適応できるようにしているのです。

傳田光洋『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』p10

 

ちなみに傳田光洋氏は本書『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』のなかで、 「こころは皮膚に密接につながっています。実は逆もまた然りで、皮膚はこころに影響を与えるのです」と述べていますが、心は脳だけではなく、内臓にも存在していると考えた場合、外側の臓器である皮膚にも心が宿っていることは十分考えられると思います。

 

 

皮膚は腸だけではなく、こころや生命ともつながっている

 

そして皮膚は生命の維持においても、非常に重要な役割を担っているといいます。皮膚は火傷なので三分の一を失ってしまうと、死に至ってしまうそうなのですが、傳田氏は本書のなかで、

 

「あえて言えば、絶え間なく変化する環境の中で生きている存在にとって、その境界たる皮膚の方が、生命機能維持のみを考えた場合、脳より上位と言うことも可能かもしれません」

 

と述べていますし、また、以下のようにも述べています。

 

 皮膚は生体にとってその内的「非因果律的」世界を維持、発展させる境界であり、過去から未来へ流れる外の世界の時間の流れから、「未来から過去へ」流れる世界を護るシステムです。

(傳田光洋『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』p206)

 

 

 これまでのところ、私たちヒトの、最後の形態上の進化は毛をなくしたことらしい。環境に対して直接対峙することになった皮膚は、これからもヒトの運命を左右し続けるかもしれません。しかし言語の発達、視覚情報の発達により、皮膚感覚は暗黙知の世界に姿を隠しています。そのため皮膚の重要性が見えにくくなっている。

 皮膚から生命科学を、そして私たちの未来を見直す時期が来ている、そう信じています。

(傳田光洋『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』p210)

 

 

 視聴覚が築き上げた人間の社会でも、皮膚感覚は暗黙知として大きな意味をもっています。眼で見た世界では説明がつかないことが、皮膚から考えると理解できる。皮膚が見る世界に思いをはせ、皮膚が語ることに耳を傾けることが、今の私たちに必要だと信じます。

(傳田光洋『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』p217)

 

 

ここで傳田光洋氏が述べていることは少し難解かもしれませんが、時間の流れ方が異なるとされるカラダの内側と外側の境界に存在している皮膚は、外部環境の変化に耐え、私たちの生命が秩序として維持されるための役割を担っているのだと考えられます。

 

傳田光洋『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』
傳田光洋『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』

皮膚からのアトピーやうつといった症状へのアプローチ

 

 

また、皮膚とはすなわち、私たちの知らない間に、私たちが視覚では捉えきれない世界を感じとっているセンサーであると思います。そしてその皮膚が感じ取った情報は、暗黙知として私たちの心に大きな影響を与えているのではないか、とも感じられます。

 

したがって、普段はあまり意識することがない「皮膚感覚」というものも、「生命」というものと実は深くつながっているのではないでしょうか?

 

それゆえに、皮膚に炎症が起こるアトピー性皮膚炎などの病気は心の領域に、メンタル面が深く関係している「うつ」といった症状は、心理カウンセリングだけではなく皮膚にアプローチすることで、何か打開策が見いだせるのではないかと感じています。

 

 

例えば、わたしたちの皮膚を構成している「表皮」は、わたしたちが脳でどう思うかに関係なく、自分たちで勝手にバリア機能を守るために活動しているようなのです。ちなみに傳田氏は本書のなかで、ケラチノサイトによって作られている「表皮は「感じる」だけではなく「考えて」いるのかもしれません」と述べています。

 

 

「表皮は絶えず新しくなりながら、それでいて形やバリア機能などは変わらない。外から傷つけられても、すぐに自動的に戻る。この自律性に電場が重要な役割を果たしているようです。自分の形をモニターし、維持するための電気的環境を自分で作っているのが表皮です。」

(傳田光洋『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』p60)

 

「表皮細胞であるケラチノサイト、一つ一つがセンサーであり、かつ刺激の原因でもある。さらに表皮がイオン濃度によって支配されている電気システムである。こうした認識から出発すれば、痒みや乾燥肌の謎が解け、有効な対策も見出されるはずだと思うのです。」

 

(傳田光洋『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』p86)

傳田光洋『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』

皮膚の状態が悪いと心の状態は悪化しますし、心理ストレスなどを受けると、アトピーが悪化するという経験は、アトピー性皮膚炎に悩まされている方は、何度も経験したことがあると思います。

 

もちろん、ストレス自体は腸内環境を悪化させる原因にもなります。

 

その皮膚と心とアトピーの関係や、うつの症状などについて考えたい方は、脳だけではなく皮膚にも心が宿っているとする、傳田光洋氏の『第三の脳―皮膚から考える命、こころ、世界』を、ぜひ手に取ってみていただきたいと感じます。